Share

第二話

last update Tanggal publikasi: 2025-12-26 08:54:36

 携帯電話はだいぶ世の中に普及してきてはいるが、自分で働いたお金で使用料を払うよう言われているので、僕はまだ携帯電話を持ったことがない。だから、大学構内の公衆電話へ向かう。公衆電話はそこまで混み合っていなかった。携帯電話を持っていない僕は、世の中から取り残されている方なのだろう。少しだけ並んで公衆電話ボックスの中へ入る。テレホンカードを取り出し、自宅へ電話をかける。公衆電話の表示窓に残り度数が表示される。会話時間を気にする必要はなさそうだ。電話がつながる。

「もしもし」

「もしもし、浩ちゃん?」

「うん。あー……受かってたよ」

「そっかい。おめでとう」

「うん、ありがとう。これから帰るね」

「うん、気をつけてね」

 通話を終え、父と合流する。ああ、これでもう受験勉強しなくていいのか。解放感に包まれながら父の車に乗り、帰路についた。緊張していたせいか、体の力が抜けている。高鳴っていた心臓もいつのまにか落ち着いていた。

 それから大学の入学式まで一ヶ月ほど。いままで我慢していた読書を再開した。一日に二冊か三冊、小説を読み漁った。

 高校三年の三学期の授業はあってないようなものだった。目立たないように気をつけて過ごしてきた高校の卒業式にも特に思い入れはない。読書の合間に大学の入学準備をすませ、つかの間の休息を過ごした。

 四月。大学の入学式が行われた。ノストラダムスの大予言によれば、来年は恐怖の大魔王が襲ってきて世界は滅亡するらしい。ばかばかしい。ただ、恐怖の大魔王なんてものが本当にいるのなら、寿命を迎える直前にでも見てみたいものだ。

 入学式の次の日、オリエンテーションが行われ、履修登録について説明された。履修登録というのは、その年に受ける大学の授業を決めて時間割を作ることだ。

 僕は夏休みの宿題を最初の一週間で終わらせるタイプだ。学習したことを忘れた頃に宿題をするのは効率が悪いからだ。卒業に必要な単位もできるだけ早く取り切ろうと思う。卒業が近づけば就職活動や卒論に時間を費やすことになるので、その時のためにいまできるだけのことをしておいた方がいいだろう。

 単位というのは、大学を卒業するために必要なものだ。授業を選択し、授業をしている講師や教授が各生徒の成績を評価し、基準以上ならその授業に割り当てられた単位数を獲得することができる。必修科目と選択科目があり必修科目の単位は必ず獲得する必要がある。卒業までに必要な単位数が定められていて、足りなければ卒業することができない。単位数が足りていても必修科目の単位がなければ卒業することができない。大学にはそういうルールがあった。これも高校までと違うところだ。

 必修科目には第二外国語がある。正直、英語もマスターしていないので手に余るのだが。ドイツ語、フランス語、中国語、ロシア語。あまりやる気にならないが……。人口動態を考えれば中国語が英語の次に話されているだろうか。使うこともなさそうなので、あまり悩む必要もないと考えて中国語を選択した。

Lanjutkan membaca buku ini secara gratis
Pindai kode untuk mengunduh Aplikasi

Bab terbaru

  • 僕は僕が欲しいものなんて知らない 聖北学院大学演劇研究会 入学編   第四十八話

     僕は着替えてから店をあとにした。とてもお腹が減った。きのう説明されたが、いまは時給が六三〇円で研修期間が終わったら時給六四〇円になるらしい。今日は二時間働いたので一二六〇円稼いだ。だいたいパン十個分くらいだ。でも携帯電話の契約をしたいので無駄づかいするわけにはいかない。携帯電話の月額利用料はだいたい四千円くらいだ。携帯端末の本体も購入する必要がある。月額利用料に含まれているプランもあるみたいだが、多めに考えておいたほうがいいだろう。 僕は週三日、午後五時から午後十時まで一日五時間働く予定だ。六四〇✕五で三二〇〇円、だいたい月十三日くらいの勤務なので、月四万円くらいの給料になる。まあ、携帯電話代くらいは払うのに問題はなさそうだ。「おかえり。どうだった?」 「うん、疲れた」 「二時間しか働いてないでしょ」 「そうだけど」 「まあ、がんばんなさいよ」 「うん」 帰宅して昼食を食べながら母とそんな会話をした。それから約一ヶ月のあいだで研修を終えた。だいたい仕事のやり方と流れは覚えることができた。 毎月の給料は翌月の上旬に銀行振込される。僕はアルバイト先で店長から給与明細を渡されたので、家に帰ると預金通帳とカードを財布の中に入れて近くのスーパーへいった。入口にATMが設置されているからだ。主婦が二人並んでいたので最後尾につき、早く自分の番にならないかとそわそわして待つ。 待機列が途切れたのでATMの前に行き、一万円だけ引き出す。預金通帳に印字された「コンビニ24 8ガツブンキユウヨ」という文字を見ながらニマニマした。研修期間中はだいたい一日の勤務が二時間とか三時間だったので、最初にもらった給料は二万円にもならなかった。けれどお年玉や小遣い以外で初めて自分で稼いだお金なので嬉しい。あまりむだづかいはできないが、スーパーでふだん買わないお菓子を買って帰った。 自分で使いたいけど、家族に何かプレゼントをしたほうがいいだろうな。初めてだから自分のためだけに使うのはもったいない気がする。お寿司の出前とかなら全員にプレゼントできるな。給料が出た次の日曜日、僕は寿司の出前をとることにした。日曜日のお昼にそのことを両親に伝えた。「いいんだよそんな。自分で使いなさい」 「そうだぞ。自分で働いたお金なんだから」 「いやまあ、初任給とかって親に感謝するものだからさ。

  • 僕は僕が欲しいものなんて知らない 聖北学院大学演劇研究会 入学編   第四十七話

     店内に入ると、お客さんは数人いるくらいだった。篠原さんはモニターで込み具合を確認したのかもしれない。いままでレジの機械をじっくり見たことはなかったが、ボタンの多い計算機みたいだ。篠原さんから説明をしながら操作方法を教わる。一度聞いただけでは覚えきれないのでやりながら覚えていくしかなさそうだ。「それじゃ渡辺さん、レジ打ちしてみてください」 「はい」 お客さんが一人レジの前に来てカウンターにかごを置いていた。「いらっしゃいませ。一二〇円が一点、二三八円が一点、五〇円が一点、合計四〇八円のお買い上げになります」 お客さんは財布を取り出して五百円玉を出した。その間にレジ袋をカウンターから取り出して広げる。「五百円お預かりいたします。九二円のお返しになります。ありがとうございました。またお越しくださいませ」 お客さんに一礼する。「基本は大丈夫ですね。あとカウンターの下にはしとスプーンとフォークがあるので、必要そうな商品を買うお客様には確認してください」 「はい」 「それと、よくお客様からたばこないですかって聞かれることが多いんだけど、この店には置いてないです。理由を聞かれたら、近くにタバコ販売店があるからって答えてください」 「そんなルールがあるんですね」 「そうなんです。そこの交差点の向かいにタバコ屋あるのが見えるでしょう?」 「あー、ありますね」 「タバコがほしいお客さんにはあの店を案内してください」 「はい、わかりました」 「他にも、自動販売機が店を出て左に行くとすぐあるので、まあそっちの方が近いですね」 「了解です」 続けて、日付管理について教わった。おにぎり、パン、弁当、サンドイッチなどの食品には賞味期限が印字されている。商品が売れると売れた商品のスペースに隙間が生まれる。それを埋めるために奥の商品を前に出す必要がある。その時に日付を見て期限が近いものを前へ並べる。この仕事をフェイスアップと呼ぶらしい。「弁当のフェイスアップも、食欲を刺激するように工夫するんですよ。例えばそうですね」 篠原さんは弁当の陳列棚の弁当を並べる。全ての棚にいろいろな弁当が一段ずつ並べられた。弁当の数が少ないのでそうなる。「いまの時間帯は朝のラッシュが終わって昼の商品が届いていない状態なので、品数がありません。こんなふうに並べると弁当が少ないよう

  • 僕は僕が欲しいものなんて知らない 聖北学院大学演劇研究会 入学編   第四十六話

     二日後。僕は朝七時すぎに目が覚めた。一応バイトの時間に寝坊したらいけないので目覚ましをかけていたが、それよりも早く目覚めた。「おはよう」 「おはよう、早いね」 母が朝食の準備をしている。父はその奥でヒゲをそっている。「うん、なんか起きた」 「浩ちゃん今日何時だっけ?」 「十時だよ。お父さんおはよう」 「おはよう。早いな」 父はT字かみそりを持ったまま振り向いた。口の周りにシェービングフォームがついている。朝食の準備ができるまで僕は新聞を読むことにした。居間のテレビではNHKのニュースが流れている。僕の家ではいつも朝はニュースだ。 新聞を読んでいると、ドタドタと哲ちゃんが階段をおりてきた。一番上の兄で、名前は哲也だ。「あんた、間に合うのかい?もっと早く起きなさいよ」 「大丈夫、間に合う」 台所でいつものように哲ちゃんが母に怒られている。父はすでに朝食を食べ始めていた。僕も立ち上がって手を洗いにいく。「浩ちゃん、淳ちゃん起こしてきて」 「ん」 次男の淳ちゃんはまだ寝ていた。いつものことだ。僕は手を洗ってからのろのろと階段を上がり、淳ちゃんに声をかける。それからごはんを食べ始めると、母も食卓についた。「淳ちゃん起きてた?」 「起きたよ」 少しすると淳ちゃんがおりてきて、父と哲ちゃんは食事を終えた。職場は違うが、二人とも同じバスに乗って出勤する。僕も朝食を食べ終わってテレビを見ていると、すぐにバイトの時間になった。 自転車をこいで三十分、コンビニ24地下鉄北二十条駅前店に到着する。コンビニの中へ入り、僕より少し年上の女性店員に声をかける。「おはようございます、今日からここで働かせていただくことになりました、渡辺浩二です」 「おはようございます、よろしくお願いします。それじゃあ、ついてきてください」 僕は女性店員のあとに続く。「店長、新人の渡辺さんがいらっしゃいました」 「はい。ああ、渡辺さん。おはようございます」 「おはようございます、本日からよろしくお願いします」 「ええ、よろしくお願いします。じゃあ、まずこれですね。制服を貸し出しますので、汚れてきたら洗濯して使ってください」 店長から制服を二着渡された。見覚えのある赤い制服だった。コンビニ24のロゴマークが入っている。「あと名札ですね」 安全ピンのついた透明

  • 僕は僕が欲しいものなんて知らない 聖北学院大学演劇研究会 入学編   第四十五話

    「どうも、よろしくお願いします。店長の斉木です」 店長は小太りで長めのスポーツ刈りをした三十代くらいのメガネをかけた男性だった。「渡辺浩二と申します。よろしくお願いします」 何回か面接を受けるうちに慣れてきたのかもしれない。それほど極端に緊張したりせず、受け答えすることができるようになっていた。けれどそれは家の近くのコンビニで面接を受けたときもそうだった。とくに気になるところもなく面接を終えたが、受かるかどうかわからない。落ちたことしかないので自信なんてなかった。 面接の四日後にコンビニから電話が来た。「先日は面接お疲れさまでした。店長の斉木です。面接の結果ですが、採用させていただきたいと思います」 うれしくて少し興奮した。「はい、ありがとうございます。よろしくお願いします」「雇用契約を結びたいので、今日もし暇なら来ていただきたいんですけど、大丈夫ですか?」「はい、大丈夫です」「いつごろ都合いいですか?」「いつでも大丈夫です」「そうですか。じゃあ、午後一時すぎくらいにシャチハタ以外の認印を持ってきてもらえますか?」「はい、わかりました」「それで、雇用契約書に保護者のサインも必要なので、それを書いてもらってまた今日か明日持ってきてください」「はい」「それで、初日の勤務なんですが、明後日の午前中とか大丈夫ですか」「はい、大丈夫です」「そうですか。それじゃあ、明後日の十時から、靴はスニーカー、ズボンはジーパンで来てください」「はい、わかりました。ありがとうございます」 あー、よかった。これで夏休みを無駄にしなくてすむ。スニーカーもジーパンもあるのでとくに用意しなければならないものはない。「お母さん、アルバイト決まったよ」「そう、おめでとう」「うんありがとう」「今日の午後一時すぎに雇用契約結んで、明後日から勤務だって」「そう。じゃあ、早めにお昼の準備しなきゃね」「ありがとう」 僕は階段を上がり、今日は家にいる二番目

  • 僕は僕が欲しいものなんて知らない 聖北学院大学演劇研究会 入学編   第四十四話

     アルバイト情報誌をめくっていると、コンビニ店員の募集が多い。時給はだいたい六三〇円でほぼ最低時給だが、人が足りていないので募集しているのだろう。もうコンビニでいいかな。時給が安いってことは仕事も楽なのかもしれない。コンビニなら家の近くにもどこにでもたくさんある。 家から歩いて十分ほどの距離にあるコンビニで運よく店員を募集していたので応募してみたが、不採用だった。面接した結果、採用したいというレベルではなかったのかもしれないし、それともふだんから少年漫画誌を立ち読みしているからかもしれない。顔を覚えられていて迷惑客と思われ、というかまあ、迷惑客でしかないわけだが。コンビニの商品は割高だからあまり買わない。だから敬遠された可能性はある。実際のところは定かではないけれど。 早いところ働き始めなければ夏休みが終わってしまう。もう十日以上たってしまった。僕が夏休み中していたことと言えば小説や漫画を読んでいるかアニメを見ているかしかしていない。それはそれで不満ではないのだけれど。だけどこれからわりと居酒屋に行ったりカラオケに行ったりお金を使う機会は増えていく気がする。なにより携帯電話がほしい。すこし焦りを感じ始めていた。 僕は大学へ通うとき、自転車で三十分くらいのところにある地下鉄まで行く。その地下鉄駅の近くにあるコンビニで店員を募集していたので、そこへ面接の応募をした。そのコンビニはふだん僕が使っている地下鉄の入口から少しだけ離れていたので、ほとんど入ったことはないはずだ。ふだんはコンビニの前を自転車で通り過ぎているだけだったので、そこにあることは知っていた。 四日後、そのコンビニへ面接を受けに来た。モップがけをしていた店員に、面接に来たことを伝えると、店員はレジカウンターの奥にある扉の向こうへ入っていきすぐに戻ってきた。「お待たせしました。こちらから入ってください」 僕は店員の後へ続き、レジとは反対側にある冷凍庫の近くにあるドアを抜ける。中に入ると狭い通路に棚が設置してあり、棚にはいろいろなお菓子の段ボールが収納されていた。通路の奥にまたドアがあり、そこに入ると小さな事務室になっていた。「面接の方をお連れしました」 店員は事務室の奥にいた男

  • 僕は僕が欲しいものなんて知らない 聖北学院大学演劇研究会 入学編   第四十三話

     三日後。自転車で寿司屋へ向かう。約束していた時間の十分くらい前に着き、店の中へ入る。いまは営業時間外らしく、客はいない。一人だけ午後の開店準備をしているらしい店員がいたので、面接に来たことを伝えると、バックヤードの方を示された。「店長は奥にいるので、入って待っててください」「はい、ありがとうございます。失礼します」 僕はバックヤードに入って中の通路を進む。奥にドアのない部屋の入口があり、光がもれていた。「失礼します、面接に来ました」 僕が声をかけて中に入ると、店長らしき中年男性のひざの上に、僕よりは年上の若い女性が座って密着していた。女性は僕に笑いかけ、ひらひらと手を振る。「……」「まだ時間じゃねえ!外で待ってろ!」「……失礼しました」 あまり人から怒鳴られたことがないので驚いたが、店長の人格には問題があるな。ええと、愛人か何かだろうか?僕はバックヤードの入口付近まで戻った。これは落ちたな、というよりここで働きたくないな。履歴書渡さずにもう帰りたい。というか、本当にこんなことがあるんだな。珍しいものを見た。 数分後、ひざの上に乗っていた女性が薄笑いを浮かべながら僕を呼びに来た。僕は事務室に入って座る。「言われるまで座んじゃねえよ、非常識だな」「あーはい、すいません」 全然気持ちがこもらない謝罪をする。勤務中にいちゃついてる人に常識をとやかく言われたくない。ひざの上なら勝手に座ってもいいのだろうか。気持ち悪いので座りたくないが。「じゃ、面接始めます」「はい」「志望動機は?」「はい、家から近いのと、時給がわりと高いからです」 なんだろう、ぜんぜん緊張しない。受かる気がまったくないからだろうな。早く面接終わらないかな。どうせ向こうも採用する気ないんだろうし。「それだけ?」「それだけです」「……長所と短所教えて」「長所は倫理観が高いところで、短所は正直すぎるところですね」

  • 僕は僕が欲しいものなんて知らない 聖北学院大学演劇研究会 入学編   第三十五話

     打順は一巡し、再び田中さんがバッターボックスに立つ。すっとバットを遠くに向けて静止させ、予告ホームランのポーズをとる。今度は演劇研究会のベンチから爆笑が起きた。「打てんのか田中ー!」「田中さんがんばってー!」「見とけお前らー!」 ストライク、ボールと続いて三球目、フルスイングした田中さんはホームランを打った。演劇研究会のベンチから黄色い声援が響く。相手のピッチャーは飛んでいった打球を振り返り、地面に片手をついてしゃがみ込んだ。絵になってしまうな。「田中さんかっこいー!」「まじか田中ー!」「や

  • 僕は僕が欲しいものなんて知らない 聖北学院大学演劇研究会 入学編   第四章 試験 第三十二話

     公演が終わると、演劇研究会は休止状態に入った。月・水・金に多目的ホールで柔軟や筋トレや発声練習などの基礎的なトレーニングのあとに、東京にある有名らしい劇団の既成の台本を使って台本を読んだり立ち稽古をしてはいたが、午後九時半ぎりぎりまで残って稽古をすることはなくなった。本番まで濃密な時間を過ごしていたので、なんだか気が抜けてしまった。 半年後まで公演がないのなら、いまは何をして過ごせばよいのだろう。演劇に触れる前の自分がどうやって暮らしていたのか、ほんの少しの間の出来事なのに自分が完全に塗り替えられてしまった気がする。 大学では授業が進んでいる。高校までは

  • 僕は僕が欲しいものなんて知らない 聖北学院大学演劇研究会 入学編   第六話

     まじか。見てるだけのつもりだったんだけどな。大勢でやるなら、まあ目立たないか。それから輪になって柔軟運動が始まった。先輩の説明を真似ながら柔軟運動をする。ジーパンだと少し動きにくい。柔軟運動が終わると、筋トレが始まった。腕立て・腹筋・背筋をやる。筋トレなんてするのはいつ以来だろう。高校では部活には入っていなかったので、体育の授業でやったような気がする。「はい、ストップモーションやります」 なんだろう。聞いたことのない言葉だ。「ストップモーションというのは、音楽に合わせて僕が手を叩いて、手を叩く音が聞こえるたびにポーズを変えて、動きのバリエーションを増やす練習です。よくわかんないかもし

  • 僕は僕が欲しいものなんて知らない 聖北学院大学演劇研究会 入学編   第五話

     僕は松本と別れると、家に電話をして帰りが遅くなると連絡した。図書館に向かう途中、演劇サークルのチラシがないか学内の掲示板を見て回る。都合よく見つからなかったので、サークル棟へ向かう。サークル棟は大学構内の端にあり、本館に比べれば小さな三階建ての建物だった。舗装されていない砂利道で、明らかにお金がかけられていない様子だ。 中へ入ると、廊下で学生が野球をしていたりして、治安が良くない方の高校っぽいなと感じた。サークル棟の中をぶらぶら歩いていると、二階の真ん中あたりに演劇研究会と書かれた札を発見する。その横には手作りの箱が部室の壁に画鋲で止められ、中にはチラシがたくさん入っていた。さっき松本に

Bab Lainnya
Jelajahi dan baca novel bagus secara gratis
Akses gratis ke berbagai novel bagus di aplikasi GoodNovel. Unduh buku yang kamu suka dan baca di mana saja & kapan saja.
Baca buku gratis di Aplikasi
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status